
FXを始めると、
たまにあります。
チャートを見ながら、
急に手が止まる。
そして思う。
「……これ、
勝てるんちゃう?」
誰にも教わっていない。
YouTubeでも見ていない。
自分で、
気づいてしまった。
少しだけ、
天才になった気がします。
ただ、
FXを長くやっていると、
もう一つ分かってきます。
その「大発見」。
だいたい、
誰かが先にやっています。
そして、
だいたい、
何かあります。
この記事で紹介する「勝てそうなトレード」
- 買いと売りを両方持てば、どちらに動いても勝てそう
- 重要指標の前に上下へ注文を置けば、方向を当てなくても勝てそう
- ナンピンすれば平均価格が近づくので、少し戻るだけで助かりそう
- 負けるたびにロットを倍にすれば、一回勝てば全部取り返せそう
- 含み損は決済しなければ負けではない。戻るまで持てばよさそう
- 高金利通貨を持っていれば、スワップだけで増えそう
- 1pipsだけ何度も取れば、大きな値幅を狙うより簡単そう
- ストップ1:リミット2なら、繰り返すだけで勝てそう
先に言っておくと、
ここで紹介する考え方のすべてが、
完全に間違っているわけではありません。
両建ても。
ナンピンも。
スキャルピングも。
リスクリワード1:2も。
使い方によっては、
普通にトレード手法として成立します。
問題は、
一部分だけ見て、
「これで勝てる」と完成させてしまうことです。
① 買いと売りを両方持てば、どちらに動いても勝てそう
上がるか。
下がるか。
分からない。
だったら、
買う。
そして、
売る。
上がれば、
買いが勝つ。
下がれば、
売りが勝つ。
完成。
……したように見えます。
ところが、
同じ数量を買って売れば、
片方の利益が増えるほど、
もう片方の損失も増えていきます。
つまり、
上下どちらに動いても勝てるのではなく、
上下どちらに動いても片方が負けます。
さらに、
両方のポジションを持てば、
最終的には両方を決済しなければなりません。
買いを先に切るのか。
売りを先に切るのか。
どこで両建てを外すのか。
入口。
一つ。
出口。
二つ。
便利になったようで、
判断は増えています。
なお、
FX会社によっては複数口座を使った両建てなどに制限があります。
XMTradingの両建てについては、
以下の記事で詳しく整理しています。
XMで両建て。 できるのか。 禁止なのか。 調べてみると、 「XMは両建てOK」 と書いてある。 安心。 ……少し待ってください。 XMでは両建てそのものは禁止されていません。 ただし、 同じ口座の中で両建てすることと、 …
② 指標前に上下へ注文を置けば、方向を当てなくても勝てそう
雇用統計。
CPI。
FOMC。
動く。
でも、
上か下か分からない。
なら、
上に買い注文。
下に売り注文。
動いた方についていけばいい。
方向予想。
不要。
これは、
かなり頭が良さそうです。
そして指標発表。
ドン。
スプレッド。
拡大。
約定。
滑る。
上。
刺さる。
下。
戻る。
思っていたゲームと、
少し違います。
重要指標では、
通常時より値動きが荒くなり、
注文価格と実際の約定価格がズレることもあります。
一瞬上へ飛んでから、
一気に下へ戻る。
その逆もあります。
つまり、
方向を当てる問題を消したつもりが、
今度は約定と値動きの荒さという問題が出てきます。
相場。
問題を一問減らすと、
別の問題を出してくることがあります。
③ ナンピンすれば平均価格が近づくので、少し戻るだけで助かりそう
100円で買った。
下がった。
90円。
もう一回買う。
平均。
95円。
なるほど。
100円まで戻らなくても、
95円まで戻れば助かる。
つまり、
損益分岐点が今の価格に近づきます。
これは、
数学的に合っています。
そして、
さらに下がる。
80円。
また買う。
平均価格。
さらに下がる。
70円。
また。
60円。
また。
50円。
……
平均価格は近づきます。
同時に、
ポジションも増えます。
ここがナンピンの難しいところです。
少し戻れば助かりやすくなる一方で、
戻らなければポジションが積み上がっていきます。
そして相場には、
「そろそろ資金が厳しそうなので、
この辺で反転しておきますね」
という機能はありません。
ナンピンそのものが悪いわけではありません。
資金量。
追加回数。
ロット。
最大損失。
ここまで設計されて、
初めて一つの手法になります。
「下がったから、もう一回」
これは、
もはや手法ではありません。
④ 負けるたびにロットを倍にすれば、一回勝てば全部取り返せそう
1ロット。
負け。
次。
2ロット。
負け。
4ロット。
負け。
8ロット。
16ロット。
32ロット。
64ロット。
……
急に、
数字の成長が頼もしい。
これが、
いわゆるマーチンゲール的な考え方です。
負けたら、
次のロットを増やす。
どこかで一度勝てば、
それまでの負けをまとめて取り返せる。
理屈だけなら、
非常に美しいです。
勝つまで続ければ、
最後は勝つ。
問題は、
勝つまで資金が続けば。
です。
連敗というものは、
順番を予約できません。
2連敗で終わることもあれば、
5連敗。
8連敗。
10連敗。
来る時は来ます。
そしてマーチンは、
連敗するほどロットが大きくなります。
つまり、
一番苦しい時に、
一番大きな勝負をする仕組みです。
ここまで来ると、
最初の1ロットが少し懐かしくなります。
⑤ 含み損は決済しなければ負けではない。戻るまで持てばよさそう
買った。
下がった。
まだ、
含み損。
確定していない。
つまり、
まだ負けていない。
……
便利な言葉です。
当初。
スキャルピング。
30分後。
デイトレード。
翌日。
スイング。
翌週。
中長期。
一か月後。
私は、
長期目線です。
トレードスタイルが、
含み損とともに成長しました。
もちろん、
最初から長期保有を前提にしたトレードなら問題ありません。
しかし、
5分足で入ったポジションを、
損切りしたくないという理由だけで数週間持つ。
それは、
長期投資へ昇格したのではなく、
損切りを先送りしているだけかもしれません。
含み損は未確定です。
でも、
存在していないわけではありません。
証拠金も使います。
次のトレードにも影響します。
そして、
さらに逆行すれば普通に増えます。
損切りできなくなる理由については、
以下の記事でも詳しく整理しています。
FX初心者が損切りできないのは、意志が弱いからではありません。ロットが大きすぎると、人は恐怖状態になり正常な判断が難しくなります。少額リアルトレードの重要性や、ハイレバとロット管理の違いについても解説します。
⑥ 高金利通貨を持っていれば、スワップだけで増えそう
ポジションを持つ。
翌日。
スワップ。
また翌日。
スワップ。
また。
スワップ。
何もしていないのに、
増える。
これは、
かなり気持ちがいい。
チャートを見なくても、
毎日少しずつ入ってくる。
だったら、
ずっと持っていればいい。
そう考えたくなります。
ただし、
FXにはもう一つあります。
為替差損。
毎日。
+100円。
+100円。
+100円。
+100円。
一か月。
+3,000円。
そして、
相場。
-30,000円。
一か月分。
ではなく、
十か月分。
飛びました。
スワップポイントは、
あくまでトレード損益の一部です。
受け取れるスワップだけを見て、
為替変動を見なくなると、
毎日利益が出るポジションではなく、
毎日少しお金を受け取りながら含み損を抱えるポジション
になることもあります。
毎日もらえる。
これは事実。
毎日儲かる。
これは、
別の話です。
⑦ 1pipsだけ何度も取れば、大きな値幅を狙うより簡単そう
20pips。
難しい。
なら、
1pips。
簡単。
1pips。
利確。
また。
1pips。
利確。
また。
1pips。
利確。
20回。
20pips。
同じやん。
……
計算上は。
ただ、
20回トレードすれば、
20回。
判断します。
20回。
注文します。
20回。
スプレッドの影響を受けます。
20回。
負ける機会もあります。
そして、
9回。
+1pips。
10回目。
-10pips。
本日の営業。
ほぼ終了です。
小さな利益を狙うほど、
取引コストや一回の大きな損失の影響は相対的に大きくなります。
もちろん、
スキャルピングで安定して利益を出す人もいます。
問題は、
「1pipsなら簡単そう」
という理由だけで取引回数を増やすことです。
利益目標。
小さくなりました。
仕事量。
増えました。
⑧ ストップ1:リミット2なら、繰り返すだけで勝てそう
最後。
これは、
かなり真面目です。
損切り。
10pips。
利確。
20pips。
リスクリワード。
1:2。
1回負ける。
-10。
1回勝つ。
+20。
差し引き。
+10。
なるほど。
完成しました。
しかも、
勝率50%もいらない。
3回に1回くらい勝てれば、
ほぼ何とかなりそう。
数学。
非常に、
綺麗です。
相場。
そこまで綺麗ではありません。
最大の問題は、
ストップ10pips、
リミット20pipsと設定したからといって、
勝率まで自動的に決まるわけではないことです。
利確を遠くすれば、
その価格へ届く前に反転することもあります。
損切りを近くすれば、
ノイズで切られる回数が増えることもあります。
例えば、
リスクリワード1:2。
見た目。
優秀。
でも、
10回やって、
1勝。
9敗。
なら、
普通に負けます。
反対に、
リスクリワード1:1でも、
十分な勝率と優位性があれば利益になることがあります。
つまり、
リスクリワード1:2という数字そのものに、
勝たせる力があるわけではありません。
必要なのは、
その損切りと利確を設定した時に、
実際に、
どのくらいの勝率になるのか。
何回負けるのか。
スプレッドなどを含めても利益が残るのか。
そこまで含めた結果です。
ストップ。
10。
リミット。
20。
数字は、
入りました。
優位性は、
まだ入っていません。
なぜ「勝てそうな方法」は次々と思いつくのか
今回紹介した8つ。
共通点があります。
どれも、
一部分だけを見ると正しい。
両建て。
片方は勝ちます。
ナンピン。
平均価格は近づきます。
マーチン。
一度勝てば、
それまでの損失を取り返せる場合があります。
含み損。
決済するまで確定はしません。
スワップ。
条件を満たせば受け取れます。
1pips。
20回取れば20pipsです。
リスクリワード1:2。
勝率が十分なら、
期待値はプラスになります。
全部、
間違いではありません。
だから、
厄介です。
FXで危ないのは、
完全に間違った理屈だけではありません。
むしろ、
半分正しい理屈の方が、
信じやすい。
手法より先に「この条件が崩れたらどうなる?」を考える
「これ、
勝てるんちゃう?」
そう思いつくこと自体は、
悪いことではありません。
むしろ、
自分で考えている証拠です。
ただ、
そこで終わらない。
一つだけ、
もう一問足してみてください。
「この理屈が崩れるとしたら、
どこだろう?」
ナンピンなら、
戻らなかったらどうなる。
マーチンなら、
連敗が続いたらどうなる。
スワップなら、
為替が逆行したらどうなる。
スキャルピングなら、
一回大きく負けたらどうなる。
1:2なら、
勝率が想定より低かったらどうなる。
この一問を入れるだけで、
トレード手法の見え方はかなり変わります。
勝てる理由を探す。
それと同じくらい、
負ける理由を探す。
私は、
こちらもかなり大事だと思っています。
FXで誰もが思いつく「勝てそうなトレード」に関するよくある質問
- ナンピンや両建ては絶対にやってはいけないのですか?
-
いいえ。ナンピンや両建てそのものが必ず悪いわけではありません。
問題は、最大損失や出口を決めずに「下がったから追加する」「損切りしたくないから反対ポジションを持つ」といった使い方です。
手法として使うなら、事前に資金量、ロット、最大ポジション数、終了条件まで決めておく必要があります。
- リスクリワード1:2なら勝率は何%あればいいですか?
-
理論上は、取引コストを無視すれば勝率が約33.3%を上回れば損益はプラス方向になります。
ただし、実際にはスプレッドやスリッページなどもあり、さらに「1:2に設定すればその勝率になる」という意味ではありません。
重要なのは、実際のトレード結果から勝率と平均利益・平均損失を確認することです。
- マーチンゲールは一回勝てば取り返せるのでは?
-
連敗数が少なく、必要なロットを持てる資金が残っていれば取り返せる場合があります。
しかし、連敗が続くほど必要ロットが急激に大きくなるため、証拠金や資金が先に尽きる可能性があります。
「いつか勝つ」ことと、「その時まで資金が残っている」ことは別です。
- 含み損は戻るまで待てばいいのでは?
-
最初から長期保有を想定し、許容損失や資金管理まで決めているなら一つの考え方です。
ただし、短期トレードで入ったポジションを、損切りしたくないという理由だけで長期保有へ変更する場合は注意が必要です。
トレード時間軸を変えるなら、「なぜ保有を続けるのか」を改めて確認した方が良いです。
- 結局、FXで勝つにはどんな手法を使えばいいですか?
-
手法だけでなく、その手法の勝率、平均利益、平均損失、最大連敗、最大ドローダウン、取引コストなどを含めて考える必要があります。
一見きれいなルールでも、実際に繰り返した時に利益が残らなければ意味がありません。
「どう勝つか」だけでなく、「どういう時に負けるのか」まで理解して使える手法の方が、長く続けやすいと思います。
まとめ:一瞬「天才かも」と思ったら、もう一問だけ考える
FXには、
不思議な瞬間があります。
チャートを見ていて、
突然。
「これ、
いけるやん。」
となる。
両建て。
ナンピン。
マーチン。
指標前の上下注文。
スワップ。
1pipsスキャル。
リスクリワード1:2。
どれも、
最初に気づいた時は、
かなり合理的に見えます。
そして実際、
完全に間違っているわけでもありません。
だからこそ、
一度だけ、
続きを考える。
「これで勝てる。」
のあとに、
「じゃあ、
どんな時に負ける?」
を付け足す。
FXでは、
この二行目が、
かなり重要です。
一行目だけなら、
私も何度も天才になりました。
二行目まで考えるようになってから、
少し、
普通に戻りました。
追伸:
FXを始めた頃。
新しい方法を思いつくたびに、
「なんで、
みんなこれやらへんのやろ?」
と思うことがあります。
その疑問。
大切です。
ただ、
答えが見つかるまでは、
大きなロットを入れない方がいいです。







